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登場人物

ノヴェンバー

"It was a princess who stood outside the gate. But, mercy! How she looked, from the rain and the rough weather! The water ran down from her hair and her clothes! It ran in at the points of her shoes and out at the heels; and yet she declared that she was a real princess. "
~ The Princess on the Pea,
by Hans Christian Andersen

ジャニュアリ王の末っ娘で、かなり厄介な体質の持ち主。豆にひどいアレルギーであるとか、「自己犠牲」という言葉を発すると口からカエルが飛び出すというそこそこ不便な呪いもさることながら、何より最悪なのは眠ることができないというところ。消えてしまった月を見つけ出せば、この問題は治るらしいと知るが、自分の言ったとおりに世話を焼いてくれる人たちが周りにいることには慣れていても、重要なことを決断するのには不慣れな彼女。そんなわけで家出をして最初に考えたことは、捜索行の道連れを探すことだった。家を出る前に、小作農の少年と婚約している。


ペロー (ネコ)

"The Cat, who heard all this, but made as if he did not, said to him with a grave and serious air, ‘Do not thus afflict your self, my good master. You have nothing else to do but to give me a bag and get a pair of boots made for me that I may scamper through the dirt and the brambles, and you shall see that you have not so bad a portion of me as you imagine.’"
~ The Master Cat, or Puss in Boots,
by Charles Perrault

元々はネズミ退治用に農家で飼われていたのだが、才気と奸計を用いて、主人 -それに自分自身- の地位を大いに高めた。今では余暇に生きる紳士として振る舞っているが、かつて生きるためにネズミを食べていた頃の奸計の才はむろん失っていない。滅多にないことではあるが、口先だけでトラブルから逃れられないような場合は、最も古典的な手法、すなわち手近な木に駆け上り、トラブルが去るのを待つ、という方法で乗り切る。年齢が高じてネズミの味を好まなくなったが、ネズミやその他の無害な小動物を狩ることには情熱を燃やす。ほかに彼が情熱を傾けるのは、旅と、スタイリッシュだが快適な履き物である。


"レッド"

"The grandmother lived out in the wood, half a league from the village, and just as Little Red-Cap entered the wood, a wolf met her. Red-Cap did not know what a wicked creature he was, and was not at all afraid of him.
‘Good-day, Little Red-Cap,’ said he.
‘Thank you kindly, wolf.’"
~Little Red-Cap,
by Jacob and Wilhelm Grimm

レッドはかねてより、森の中に自分一人で住んでいた。斧を持っている姿がよく目撃されているが、木を切っている様子は滅多に見られない。彼女の趣味は、狩りと花を摘むことである。過去の経緯により、オオカミを特に嫌う。また、肉食獣全般に対して根強い不信感を抱く。口をきく肉食獣となれば、なおさらである。


カラバ侯爵(ピエール)

貧しい粉ひき屋の末の息子。父の遺産として、ネコだけが遺された。ネコの策略により、最後には彼は信じられないほど金持ちの貴族になり、王女と結婚して、次期王位継承者となっている。自分の靴紐を結んだら自分の脚を縛り上げてしまうような人物ゆえ、いたって幸運なことと言えよう。


コレット

デュラン王の一人娘にして、侯爵の妻。少々お高くとまりすぎるきらいがあるが、非常に気さくでもある。彼女の夫にとって幸いなことに (ノヴェンバーにとっては不幸なことに)、コレットは高貴な血が流れる者とそうでない者を見分ける能力が決定的に欠けている。また、ネコを好まない。カーペットの上にしょっちゅう、毛玉を落としたり、死んだ動物をほったらかしておくようなネコは特に。


少年

"But the dead man shouted ‘Now I’m going to strangle you!’
‘What?’ the boy responded. ‘Is that my thanks? I’m going to put you right back into your coffin.’ He lifted him up, tossed him inside, and shut the lid. Then the six men returned and carried the coffin away.
‘I can’t get the creeps,’ the boy said. ‘ I’ll never learn it here no matter how long I live.’"
A Tale About the Boy Who Went Forth to Learn What Fear Was,
by Jacob and Wilhelm Grimm

小作農の少年で、化け物が潜むという城で三夜を過ごし、驚くほどの財宝を持ち帰ったことにより、ジャニュアリ王に感銘を与える。このおかげで、王の末娘との婚約を勝ち得た (この娘はそれきり失踪したわけだが)。噂によると、この少年は恐怖というものを知らないらしい。もっとも、ほかに何かよく知っているものがあるとも見受けられない。


野獣

"There was but one thing that gave Beauty any concern, which was that every night, before she went to bed, the monster always asked her if she would be his wife. One day she said to him, ‘Beast, you make me very uneasy, I wish I could consent to marry you, but I am too sincere to make you believe that will ever happen; I shall always esteem you as a friend, endeavor to be satisfied with this.’ ‘I must,’ said the Beast, ‘for, alas! I know too well my own misfortune, but then I love you with the tenderest affection. However, I ought to think myself happy, that you will stay here; promise me never to leave me.'”
~Beauty and the Beast, by Jeanne-Marie LePrince de Beaumont

孤独を好み、ひどく神経質なこの獣は、森の奥深くにある豪奢で贅沢な調度の家に住まい、そこを去ろうとする様子もなければ、多くの客をもてなすこともない。気晴らしはもっぱら庭の手入れと、結婚の申し込み。ただし、後者よりも前者の方にはるかに優れた腕を持つ。彼が自分のバラ園よりも愛しているのはビューティだけである。このいずれかが奪われると、彼はひどく荒れすさぶことになる。


ビューティ

没落した商人の末娘。何ヶ月もの間、野獣と共に過ごす。生まれてこのかた家族の世話を見てきたたおかげで、野獣の激しやすい性格ともうまくやっていける辛抱強さの持ち主。野獣の面倒をとてもよく見ているのだが、彼との結婚にはどうも気乗りがしない様子。


クレア

"She replied, ‘I am no spirit, but an unhappy mortal deserted by all but God.’ The King said, ‘If thou art forsaken by all the world, yet will I not forsake thee.'”
~The Girl Without Hands, by Jacob and Wilhelm Grimm

ずいぶんと複雑な過去を持つ女性。貧乏な粉ひきの娘だったのだが、この粉ひきが、悪魔にだまされて莫大な富と引き替えに自分の娘を渡すことになってしまう上、悪魔の命令に従って娘の手を切り落としてしまう。彼女は自力で悪魔の手から逃れることができたが、自分一人で生きていくため家を出る。やがて、彼女は王と出会い、結婚する。しかし、これとて彼女の不幸を終わらせることはできなかった。今、彼女は再び流浪の身となり、携えているいるものといえば銀でできた手と、夫との思い出だけである。隠し立てせず自分のことを話すが、詳しく話したがらないことも少々ある模様。たとえば、月と出会ったときに聞き出した秘密のことであるとか。


魔女

"Hansel and Gretel were so terrified that they let what they had in their hands fall. But the old woman shook her head and said: ‘Oh, ho! you dear children, who led you here? Just come in and stay with me, no ill shall befall you.’"
~Hansel and Gretel,
by Jacob and Wilhelm Grimm

かねてより、森の中に自分一人で住んでいた老女。


アンナとクラウス

貧しい木こりの子供たち。不幸な境遇ゆえ、したたかで臨機応変。互いの面倒を見合っている。クラウスについては少々ひねくれたところがあり、他人、とりわけ大人を信用しないところがある。


リカルド

"There was once a Prince who wished to marry a Princess; but then she must be a real Princess. He travelled all over the world in hopes of finding such a lady; but there was always something wrong. Princesses he found in plenty; but whether they were real Princesses it was impossible for him to decide, for now one thing, now another, seemed to him not quite right about the ladies."
~ The Princess on the Pea
, by Hans Christian Andersen

数年前に婚約者を失ってからというもの、リカルド王子は結婚相手を捜し続けている。容姿端麗、勇猛果敢、並ぶものなき剣士にして、裕福で強大な王国の世継ぎ。そんな彼は、この世の誰よりも結婚相手として望まれる人物だったはずである。もし、この男が鼻持ちならないスットコドッコイでなければ。ところが現実はそういう男なわけで、父の王国の近隣にいる結婚適齢期のお姫様のほとんどすべてを、鼻であしらったり、むかっ腹を立てさせたり。今や、多くの王家では要注意人物の扱いである。そんなことから、彼は姫君捜索行を上流階級とはかけ離れた立場の相手にまで拡げざるを得なくなり、呪われた城やその他の僻地にまで出向いているのである。