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第二話 p.28

第二話 p.28 published on

この作品の核となっているおとぎ話「埋められた月」完結です。


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埋められた月 (21)
一同は近づいて、その大きな石を抱え、押しのけた。後になってその連中が言った話だと、一分かそこらの間は、暗い水の中から風変わりだが美しい顔が連中の方を嬉しそうに見上げていたのが見えたんだそうだ。だが、光があんまり急に、あんまり白く輝き出したもんで、目がくらんで後ずさりしてしまった。そして、次に連中の目がきくようになったころには、空に満月が浮かんでいたんだ。昔と変わらず、明るく綺麗にやさしく輝いて、みんなに向かって微笑んでいた。沼や小道は昼間のように明るくなり、隅っこの暗いとこにさえ光が入り込み、それはまるで(かのじょ)が、できるものなら、暗闇や小鬼どもをすっかり追っ払っちまおうかってほどだったとさ。(完)
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埋められた月 (全)