この作品の核となっているおとぎ話「埋められた月」を連載しています。
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埋められた月 (19)
そこで次の夜、まだ薄暗がりの中、一同はそろって出かけた。みんな、口には石を入れ、手にはハシバミの枝を持ってね。気分はどうかって、まあ見当はつくだろうが、そりゃあ恐ろしく不気味な思いをしてたさ。 沼の真ん中を通る道をみんなしてこけつまろびつ進んでいくと、目には何も見えなかったが、ため息だのコソコソする音だのが耳に入ってきたし、冷たい湿った指が体に触れるのもわかった。でも、棺とロウソク、それに十字架を探し回っているうちにいつの間にやら、月が埋められている、大きな古木のそばにある水辺に近づいていたんだ。そして、いくらも経たないうちに、一同は恐れおののきながら困惑して立ち止まった。(つづく)
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これまでの話
(1)~(18)。