この作品の核となっているおとぎ話「埋められた月」を連載しています。
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埋められた月 (17)
一同は帰路についた。そして何日も過ぎたが、やはり月は姿を見せない。いきおい連中のする話はこのことばかりになった - そりゃ、そうさね! 連中は、それはそれは話をしたとも! 家でも、酒場でも、庭先でも、うわさ話ばかりさ。だが、そんなある日、一同が酒場で雁首そろえていたときのことだ。沼地の端っこの方に住むある男がタバコをくゆらせ話を聞いていたら、突然身を起こして、はたと膝をうったんだ。「俺はボケナスだ!」そいつは言った。「すっかり忘れちまってた。俺は知ってたよ、月の居所を! 間違いない!」そして、その男は沼地で道に迷ったこと、恐怖のあまり死にかけていたら光が射し、道が見つかって無事に家に戻れたことを話した。(つづく)
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これまでの話
(1)~(16)。