この作品の核となっているおとぎ話「埋められた月」を連載しています。
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埋められた月 (4)
言葉たがわずその月の終わりに、黒い外套に身をくるみ、黄色く輝く髪には黒いずきんをかぶせて、彼女は下界におりた。まっすぐ沼のほとりに向かい、あたりを見回してみると、そこら中、水また水だ。草むらは波うち、泥はブルブル震え、大きな黒い古木はみんなすっかりひん曲がっている。目の前は真っ暗だった。水たまりに映るチラチラした星の光と、黒い外套から漏れる光が自分の白い足元を照らすほかは、まったくもって真っ暗だった。(つづく)
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