この作品の核となっているおとぎ話「埋められた月」を連載しています。
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埋められた月 (20)
そこには、水から半分顔を出した巨大な石があり、異様な姿の大きな棺にそっくりだった。そのてっぺんには黒い古木が枝を左右に広げて立っていて、身の毛もよだつような十字架の姿をしていた。そして、その十字架には、小さな光が、消えかかったロウソクのように揺らいでいた。一行は泥の中に膝をついて「主よ」と唱えた。最初は前を向き、十字架に向かって。その次に後ろを向いて、小鬼どもを遠ざけるために。だが、口に出して言ったんじゃないよ。物知り婆さんが言ったとおりにしないと、化け物どもに捕まっちまうってことはみんなわかってたから。(つづく)
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これまでの話
(1)~(19)。