この作品の核となっているおとぎ話「埋められた月」を連載しています。
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埋められた月 (7)
そいつは沼地で迷っちまった男だった。恐ろしさでわけが分かんなくなって、助けが得られそうなチラチラする光に向かってもがき進んでいたんだ。気の毒な月が見たときには、その男は少しずつ道から離れ、深い穴に近づいていた。彼女はそいつの身を案じるあまり気もふれんばかりになって、これまでよりも懸命に手を引き抜こうともがいた。すると、抜け出すことこそできなかったんだが、身をよじったりひねったりしているうちに黒いずきんが後ろにずれて、黄色く輝く髪がこぼれ出し、そこから射す美しい光が闇を追い払った。(つづく)
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これまでの話
(1)~(6)。